こだわりの地酒と焼酎のお店 高木酒店

お酒と水の話

・ お酒と水の話

 酒と水は一心同体ですから、よい水が出るところでは昔から酒造りも盛んに行われて来ました。江戸時代には全国で地酒が造られるようになり、特に大阪の伊丹の酒が味もよく人気もあって、遠く江戸まで運ばれて大評判となります。将軍家の御膳酒となった「剣菱」も伊丹の酒でした。遠く関西から下ってくるので「下り酒」と呼ばれておりましたが、一方、関東の酒は下って来るものではないので「下らない酒」といわれ、これが「くだらない」の語源になったといわれています。

 そんな江戸時代、天保年間のお話になります。
 摂津国(今の兵庫県)西宮に、「櫻正宗」という酒蔵の6代目、山邑太左衛門(やまむらたざえもん)という人がおりました。
 彼は西宮と灘に酒造場を持っていたのですが、どんなに同じように造っても、どうしても味が違ってしまう。試しに蔵人たちを入れ替えてみたりもしたのですが、なぜか西宮で造った酒の方がおいしい。
 いろいろ悩んだ彼は、秘密は水にあるのではないかと思いつき、試しに西宮の水を灘まで持っていって、酒を造ってみました。するとなんと、西宮と同じ旨い酒ができたのです。
 これに確信を得た太左衛門は、西宮でくんだ水を灘まで運んで酒造りを始めました。水はどこでもあるのにわざわざ遠いところから運んで造るなんて、と灘の同業者からは笑いの種にされますが、それも初めのうちだけでした。太左右衛門の酒は格別に旨いと評判になり売れること売れること。遠く江戸にも運ばれて大評判になります。
 はじめは笑っていた同業者たちも、とうとう太左右衛門に倣って西宮の水を使って酒造りを始めるようになりました。これが酒の名産地、灘の発祥になります。「西宮の水」から「宮水(みやみず)」と呼ばれるようになりました。現在でも宮水はおいしいお酒を産み続けておりますし、西宮では、宮水発祥の場所が石碑とともに残されております。

宮水

 なぜ、宮水で造ったお酒がおいしいのでしょう。
お酒を造るためには、麹や酵母の栄養分となり、また酵素の働きにも必要なカルシウム、カリウム、リンが必要ですが、この成分が多く含まれていること。また酒つくりには絶対混じってはならない鉄分が極めて少ないからだといわれています。海の近くなので若干の塩分を含んだ日本では珍しい中硬水なのです。宮水で造った酒は腰の強さ、酸の強い味わいから男酒とも称されます。
 一方、軟水の京都伏見の水で造った酒は、淡麗で軽やかなことから女酒と称されます。

 酒つくりには大量の水を使います。実に原料米の約50倍の水が必要なんです。
 日本酒の成分の80%は水分ですから、原料水の量も想像できますが、そのほか洗浄水など、特にビンや機械を洗うのにも水質には十分注意を払いながら多くの水が使われます。水源を持つ地域には昔から酒つくりの蔵が多くあったこともうなずけますね。
 割水(わりみず)という言葉をお聞きになったことがありますか。
醸造したての酒はアルコール度数が高いので(約20度)、水を加えて濃度を調整しますがこれを割水と言います。酒造りと同じ上質の水が使われているのは、当然ですね。

 お酒を飲むときに、合間に水を飲むのもおすすめです。洋酒でいうとチェイサーですね。日本酒の世界では「和らぎ水(やわらぎみず)」と呼ばれております。酔いが回るのを抑えますし、二日酔い防止など健康にもよいですね。
 また、水割りも結構おいしく飲めるんですよ。
 たぶん多くの方は、ええ!!と思われるでしょうが、日本酒の蔵元で働く蔵人たちの間では「割り水燗(わりみずかん)」と呼ばれて飲まれています。日本酒の1割程度の水を加えてお燗にしたものです。
 もちろん仕込み水と同じ水が手に入れば最高なんでしょうが、水道水だけはお止めになった方がよいかと思います。

(平成21年10月)

a:1697 t:1 y:2

powered by Quick Homepage Maker 4.20
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional