お酒は神代の昔から
・ お酒は神代の昔から
お祝いには日本酒。我が国の伝統ですね。
神代の昔、お酒は神様が飲む神聖なものとされておりました。
今でも祭事にはお神酒と神饌を供えますね。祭る方の人間たちも神様と一緒にお神酒を頂くわけですが、アルコールによる酩酊感など非日常的な感覚のなかで、古代の人々は神様と交流していたらしいです。
旧暦の10月は「神無月(かんなづき)」といいますが、出雲地方では「神在月(かみありづき)」と呼ばれます。
日本中の神様がいなくなるので神無月ですが、いなくなった神様たちはどこに行くのかというと、島根県の出雲大社。全ての神様たちが集まりますので出雲だけは神在月になったのです。さて、出雲大社に集まった神様たちは神議(かみはかり)という会議を催しますが、再会を祝っての大宴会が習わしです。私たちと同じですね(笑)
そこで神様たちをもてなすためのお酒を造り、料理を作ったところが佐香神社(松尾神社)であると、『出雲風土記』に書かれております。佐香神社では今日でも古式にならった酒造りが行われており、酒造りの神様として全国の酒蔵が大切にお祭りしております。
実はきき酒師の認定証にも佐香神社の押印があるのですよ。
出雲のお酒の逸話は古事記や日本書紀にもでてきます。
八岐大蛇(やまたのおろち)を退治した須佐之男命(すさのおのみこと)のお話です。
お酒を飲ませ、酔いつぶれた大蛇を退治した須佐之男は尾からでてきた宝剣を手にします。それが三種の神器の一つである「天叢雲の剣(あめのむらくものつるぎ)」であったと言う伝説ですが、このとき飲ませたお酒は出雲の国で造った八塩折(やしおり)の酒と呼ばれるものでした。
実はこの八塩折の酒はとんでもなく高度な技術で造られたお酒なのです。
現在でも、もろみを絞ってお酒をとるのですが、八塩折の酒はできたお酒を水の代わりに原料に使ってさらに仕込み、それを8回繰り返してできたお酒なのです。大昔にそのような製法があったというだけでも驚きですよね。日本酒のルーツは出雲地方と呼ばれるゆえんでもあります。
お祝いの席に日本酒が必ずあるのは、こうした神様を祭り悪しきものを祓うために使われてきたお酒の歴史や伝承に寄るところなのでしょうね。
今年もどうぞ日本酒とお付き合いください。なんといっても「日本」という国の名前を冠したお酒なのですから。
デフレなど慢性的な経済不況にここ数年は泣いてばかりの連続でしたが、そろそろ景気も良くなってもらいたいですね。美味しいお酒を心から楽しめる年になりますように。
2010年も皆さまによいお年でありますように。
(平成22年1月)
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