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もやしの話

・ もやしの話

 
 「もやしもん」という漫画があります。菌を肉眼で見ることができる主人公が、様々な発酵に関わっていくお話です。マニアックですがなかなか面白いですよ。
 この「もやし」とは麹のことなんです。豆を発芽させた、いわゆるもやしは、芽吹くときの「萌える」が語源です。同じように麹菌が菌糸を出してのびていく様が、植物の成長と似ていることから麹を「もやし」と呼ぶようになりました。また、厳密に言えば酒造りに使う麹だけに使われる言葉で、味噌や醤油の世界では、麹は「もやし」とは言わず「タネ」と呼ぶそうです。
 さて、「もやしもん」の主人公の実家は「もやし屋」です。酒造りに使う麹を売るところです。

 日本酒は蒸した米を発酵させて造りますが、発酵に必要な糖分は米には含まれておりません。そこで、米に含まれるデンプンを糖に変える作業が必要になります。その大事な役目を担うのが麹菌です。

破精

 蒸した米に麹菌を混ぜ、均一になるように丁寧にならしていきます。米についた麹菌は発酵を始めますが、この状態の米を「破精(はぜ)」と呼びます。全ての米粒に均等に菌が回った状態を「総破精(そうはぜ)」といい、濃醇な酒の原料になります。また、まだらの状態を「突破精(つきはぜ)」といって淡麗な酒造りに使われます。作りたい酒質にあわせて麹を調整するのも、杜氏の腕の見せ所です。良い「はぜ」を確認したら酵母を入れて、糖分をアルコールに変えていきます。

 麹ができたら、「掛け米」といって更に蒸したお米を混ぜて、糖化とアルコール化を次々に行います。この2段階の発酵が同時に行われるのが日本酒造りの特徴です。これを「並行複発酵」と呼んでおります。
 同じ醸造酒のワインはブドウの実を原料にしますが、すでに糖分を持っていますので、いきなり酵母を加え発酵させます。これを「単発酵」といいます。
 また、ビールやウイスキーは、麦芽を一度糖分に変えてしまってから発酵させる方法で醸造されますが、これは「並行単発酵」といっております。

 並行複発酵は度数の高いアルコールを得られるのが特徴で、世界中の醸造酒の中でも日本酒は一番高いアルコール度数で製造されるお酒です。40度を超えるお酒もあるのですよ。酒税法では清酒のアルコール度数は22%未満と定められていますので、普通は割り水といって水で薄めて出荷されます。ちなみに40度を超えるお酒を出荷する場合は、リキュール類として扱われます。

塩麹(市販)

 さて、麹を使った流行の調味料に「塩麹」がありますね。さまざまな料理に活用できますので、つくり置きしておくと便利ですよ。最近は店頭でも簡単に手に入りますけどね。原料は麹と塩と水だけ。昔から麹漬けの床として使われてきたものです。近年、さまざまな使い方が紹介されてきましたので、ちょっとブームになりました。
 まず、麹と塩を混ぜ、ひたひたに水を加えて、光が当たらないところで10日間待ちます。常温で大丈夫。麹の重さの3分の1が塩の目安です。忘れずに毎日かき混ぜてください。また、麹は水を吸いますので麹の頭が水面から出てきたら水を足しましょう。また発酵して二酸化炭素が出ますので、ふたはゆるくしておいてください。出来上がった塩麹は、冷蔵庫で保存しましょう。半年くらいはもちます。
 塩の代わりに使う感覚だそうです。味噌のように使う分だけ取り分けて使いましょう。
 野菜も美味しいですが、肉や魚を漬け込むと、たんぱく質がアミノ酸に変化して旨みがまします。ついた塩麹は洗わずにそのまま一緒に焼きますと、風味もよく仕上がります。

 旨みの利いた塩味の麹漬けには、日本酒がよく合いますよ。素材の美味しさを更に引き立てるには吟醸酒。麹の風味と吟醸の香り、きりっと締まった切れのよさに、つい2杯、3杯と後を引くことでしょう。冷たく冷やして、ワイン感覚でいただきましょう。

 (平成24年7月)

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