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グラタンと日本酒

・ グラタンと日本酒

 
 久しぶりにグラタンが食べたいと息子が言うので、日曜日の午後はグラタン作りに精を出してみました。

グラタン

 中に入れる具材はさまざま。自由なアレンジを楽しめるのがこの料理の魅力でもあります。冬にはカキ、春にはブロッコリー、秋にはナスなど四季折々の食材を美味しくいただける料理ですね。

 アンチョビ(いわしの塩漬け)が入ったスウェーデン風グラタンには「ヤンソンさんの誘惑」という名前がついています。
 宗教家で徹底した菜食主義者のヤンソンさんは弟子にもそれを徹底するほどの厳しい人でしたが、あるとき、グラタンからの素敵な香りに負けて、こっそりと一口食べてしまったのです。そんな彼を見ていた弟子たちは幻滅して彼の元を去り、ひとりぼっちになりました。というお話から「ヤンソンさんの誘惑」と呼ばれるようになりました。

 グラタンの発祥はフランスです。語源は「削る」という意味の「グラター」。鍋についた薄い焦げ付きを削るところからついた言葉だそうです。
 派生したフランス語にグラティネというのがありますが、これは焼き目をつけること。スーパ・ロワニョン・グラティネという料理があります。フランスの家庭料理です。ロワニョンはたまねぎのこと。日本名ではそのままオニオングラタンスープです。スープなのになんでグラタン?と思いますが、フランス語の料理名をそのまま日本風にしちゃったのですね。
 マリリン・モンローが野球選手のジョー・ディマジオと新婚旅行で日本に訪れたとき、福岡にも立ち寄りました。その際、ロイヤルというレストランで食したオニオングラタンスープがとても気に入って、滞在の3日間、毎日これを食べたとか。

 グラタンと似たような料理でドリアがありますね。ご飯が入ったグラタンですが、イタリアのジェノバという町の貴族、ドリア家の名前にちなんだといわれています。イタリア料理のようなイメージですが、西洋料理で使われるドリア風とは全く別のもの。実は日本で生まれ、名付けられた料理なんですよ。

 日本のドリアはあるスイス人の手により、横浜で誕生しました。
 彼の名前は、サリー・ワイル。日本洋食界の父と呼ばれる人です。横浜のホテルニューグランドで長く日本の料理人たちを指導してきました。カツレツを日本に紹介したのも彼です。日本人の主食であるお米を使った洋食ができないかと考案したのがドリアの始まりなんですが、クリーミーなソースをご飯に合わせるなんて、素晴らしい発想ですよね。

 さて、日本酒を合わせてみましょう。
 洋食にはやっぱりワイン・・・などとおっしゃらないで、是非日本酒で味わってみてください。純米酒や本醸造酒など、ほんのりと甘い米の香りがクリーミーに感じられるお酒は、同じような風味を持つバターやクリームを使った料理ととても相性がいいのですよ。
 ただし熟成が進んでクリーミーな含み香が強くなったお酒は、相性としては悪くないのですが、ちょっとくどくなりますので好みが分かれるところです。

 もっとも相性がいいお酒は特別純米酒でしょうか。とくに淡麗でキレのあるものがお勧めです。持ち味の米の香りがクリームとよく合いますし、ホワイトソースの味わいを消すことなく、またさっぱりした飲み口がまろやかなグラタンの味にぴったりと「はまる」感じです。お燗にするとコクが増し、深みのある味わいが楽しめます。

 (平成25年1月)

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