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コクのあるお酒

・ コクのあるお酒

 
 不思議な表現だと思いました。ビールのCMでも「のど越しの良さとコクのある味わい」とか、日本酒でも「どっしりとコクがある」という表現を使っていますよね。「コク」って、いったいどんな味なのでしょう。

 語源は、「濃い」という形容詞の変化形です。漢字で書くと「濃く」になります。形容詞だったのがいつの間にか「コクがある」と、名詞のように使われるようになりました。語源が「濃い」ですので、味も濃いものと考えれば何となくそのような感じがしますね。

酒造り

 濃い味は、お酒に含まれる味わい成分の量が多いときに感じるものですから、そうした指標になるのが日本酒度です。日本酒度はお酒の比重を比較する数値ですので、濃いお酒、いわゆる重たいお酒はマイナス表示に、軽いお酒はプラス表示になります。甘口のお酒は濃いお酒ということになりマイナス表示になりますね。プラス表示が大きいほど辛口だと言われる理由はそういうことです。
 でも甘いだけではコクがあるとはいえないところに、日本酒の奥深さがあるのです。

 コクがある、ない、を別の表現で言い換えてみましょう。こってりとあっさり、濃醇と淡麗、どっしりと軽快、などなど。
 お酒の味には甘みのほか、酸味、苦み、旨味など4つの要素が含まれています。これらの要素が複雑に絡み合って、お酒の個性が現れるのですが、実はコクを感じる要素は甘みの他にもう一つ、酸味なのです。酸味というと酸っぱいイメージがありますが、実はお酒のどっしりした味わいの決め手になるのです。

 酸味の具合は「酸度」という数値で表されます。日本酒の発酵過程で、乳酸やコハク酸、リンゴ酸といった酸性物質が生成されますが、この量が酸度を決めることになるのです。
 酸味は仕込み水に影響されることが多く、硬度が高い水で造った酒は酸が入りコクが出てきます。一方硬度が低い軟水で造ったお酒はサッパリと淡麗な味わいになります。
 「船中八策」で有名な高知県の司牡丹酒造の社長さんが「四国の水で造った酒は酸が入るので東北の蔵からうらやましいといわれる」とおっしゃっていたことを思い出します。

 また、濃淡度という指標があります。甘辛度と同じように日本酒度と酸度から求める数値なのですが、数値が大きいほど濃醇で、小さいほど淡麗だといわれております。
 これも数式はややこしいのですが、ご参考に記しておきますので興味のある方は計算してみてください。
濃淡度= 95,545÷(1,443+日本酒度)+(1.88×酸度)-68.54
 平成18年に造られた日本酒の平均値を見ますと、酸度が+1.2、日本酒度が+3となっていますので、計算してみますと濃淡度は「-0.9」になります。全国的に淡麗の方向にあるようですね。

 蛇足ですが、お酒は開栓したまま放っておくとアルコールが酸化して酢になりますけど、ラベル表示の酸度とはもちろん全く関係ありませんのでご安心を。ちなみにエチルアルコールは酸化すると、アセトアルデヒドという物質に変わり、最終的には酢酸になります。これが酢ですね。酢は保存されていた酒が偶然に変化してできたものが始まりで、人類が最初に作り始めた調味料といわれています。

 お酒を飲むと体の中でも同じ反応が起きます。二日酔いの原因はこのアルデヒドという物質のせいなんです。夕べ飲んだお酒が朝方にはアルデヒドに変わってとても気分が悪くなり、夕方には酢酸に変わって、さらに炭酸ガスと水になってしまいます。そこで気分が治って、懲りずにまた飲もうとしちゃったりして。
 落語に出てくる狂歌を一つ。
 「酒のない国に行きたい二日酔い、三日目にまた戻りたくなる」
 くれぐれも飲みすぎにはご注意を。

 (平成24年3月)

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