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世界の穀物~TPPから

・ 世界の穀物~TPPから

 
 TPPの交渉参加が連日新聞に取り沙汰されておりますね。
 TPPは環太平洋戦略的経済連携協定の略称です。参加国同士、関税をなくして自由に貿易をしましょうということを基本に、どの品目を対象にするかという交渉をしているのです。
 農産物や工業製品などお互い、自国の利益のために交渉が行われますが、品目によって一長一短あることは間違いありません。日本にとって自動車など工業製品の関税がなくなればどんどん輸出を増やして、その分生産も増えて国民の生活は豊かになることでしょう。 
 しかし、農産物からみると結果は全く逆になります。我が国の食料自給率は39%。多くを輸入に頼っています。穀物をみると、麦や大豆はほとんどが輸入品といってもよいくらいです。唯一、米だけが自給できる品目なのです。
 しかし、TPP交渉では米も対象品目に挙げるよう迫られています。日本の米は生産者価格で60キロあたり15,000円ですが、世界の米の平均価格は3000円程度。5分の1ですね。こうした米が大量に入ってくれば国内の農業は壊滅すると、JAあたりが猛反対している理由になります。

 じゃあ、日本の米の価格を下げればいいじゃないかという議論になりますが、構造上なかなかそうはいかないのが悩ましいところです。
 まず日本の土地の価格がとても高いこと。借りるにしても、税金にしてもそれを賄えるだけの生産額が必要なのですが、米の生産量は1,000㎡あたり480キロが普通です。これが3000円の単価になりますと、1,000㎡で24,000円です。
 とても生活できる価格ではないですね。年収500万円を獲得するには一人で20haの田んぼを作らなくてはいけない計算になります。これって、ヤフオクドームの約3倍の広さですよ。

 もっと悲惨なことは、広い土地で米を作るにはトラクターや田植機といった農業用の機械が不可欠だと言うこと。この農業用機械を一式そろえると、1,000万円くらいかかります。そんな投資をしてまで単価3,000円の米を作ろうという人は、おそらくいなくなっちゃいますね。

 でも、安いお米が出回れば消費者にとっていいことのようにも思えます。
 日本はどんどん工業製品を作って、農産物は輸入すればいいと割り切っておられる政治家もおりますし、そういう消費者の方も多いでしょう。
 しかし本当に、今の日本のお米のように安全だと言い切れるのでしょうか。
 世界の穀物の話なのですが、現在世界で流通している穀物の75%は、アメリカの3大穀物メジャーといわれる大商社が握っています。一番大きな会社はカーギル社です。穀物を制するものは世界を制すると豪語する大会社です。
 3大メジャーの中でもダントツに大きいのですが、そこまで巨大になったのは、モンサント社を吸収したことによります。
 モンサントはラウンドアップという除草剤を作っている会社です。この除草剤は、撒くときは作物にかからないように慎重にしなければならないほどよく効くので、世界中で使われています。
 ラウンドアップが普及して、次にモンサントがやったことは、ラウンドアップが効かない作物を作ること。トウモロコシや大豆などラウンドアップでも枯れない品種を作ったのです。遺伝子を組み換えた作物で、ラウンドアップレディと呼ばれます。
 これだと、どんなに大量に除草剤を撒いても枯れませんので、農家はとても楽になりました。当然、ラウンドアップは売れますし、ラウンドアップレディもどんどん売れる。
 
 これに目をつけたのがカーギル社です。ラウンドアップがほしかったのではなく、遺伝子組み換えの技術を吸収したかったのです。それからのカーギル社は多くの種を作って世界中に売りさばき、どんどん大きくなっていきました。その種がどうやって作られたのかは、もうわかりますよね。

 日本ではJAが頑張っていますので、遺伝子組み換えの作物は国内では栽培しませんし、一切流通させないようにしています。でも農産物が自由化されると、どうなるんでしょうねえ。
 厚生労働省は遺伝子組み換え作物は安全だと宣言していますので、まあ信用していいんでしょうが、個人的な感情から言うとちょっと疑心暗鬼になってしまいますね。
 農薬や添加物の基準も国によって違いますし、せめて日本酒のお米は、いえ日本のお米は、いまのままであってほしいなと切に思います。

 (平成25年7月)

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