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新酒ができたそうですよ

・ 新酒ができたそうですよ

 11月29日に長野県宮坂酒造で真澄の「あらばしり」が発売開始という記事を読みました。
 新酒の出荷が始まったようです。あらばしりとは、日本酒の一番搾りのこと。お酒のもとである「もろみ」を絞って清酒になるのですが、一番はじめに流れ出てくる搾りたてのお酒をあらばしりと呼びます。加熱処理、割り水、炭素ろ過をせずにビン詰めした生原酒です。新鮮でイキが良く、ワイルドながら爽快な旨味をもったこのお酒にぴったりのネーミングだといつも思ってしまいます。

酒林

 酒蔵の門口に大きな玉が下げてあるのをご覧になったことはありますか。杉の枝葉を丸く作ったもので、酒林(さかばやし)と呼ばれ新酒ができた時に飾るものです。江戸時代に始まったらしいのですが、こうした習慣はヨーロッパにもありまして、ワインができたとき、ツタの葉を束にしてワイナリーや酒場の門口に飾っていたそうです。

 酒林は、初めは青々としていますが次第に枯れた茶色に変わってきます。この色の変化を見ながら、人々は新酒の熟成具合を楽しみにするのだそうです。熟成とは水分子とアルコール分子が融合していくメカニズムですが、これによりアルコールの角が取れ、荒々しさが収まり、まろやかなお酒になっていくのです。春頃が出荷の目安になります。

 新酒ができる時期は冬が多いのですが、これは江戸時代からの名残です。江戸幕府は技術的なものと酒造統制から日本酒は寒造りしか認めておりませんでした。今ではそんな規制はないのですが、そうした伝統は今でも蔵元に残っているのですね。
 お酒造りは稲刈りが終わり、新米ができる頃に始まります。米を磨いて準備が整ったら、杜氏さんの出番です。
 伝統的な杜氏さんの一年は、農業との掛け持ちで過ぎていきます。秋の刈り入れとともに蔵に赴き、酒造りが終わる春までの約半年をすごします。春になるとまた里に帰って稲作りを始めるのです。米のことをよく知っているからこそ酒造りのスペシャリストが生まれたのですね。また、寒造りが一般的な理由の一つはこうした杜氏さんの一年にもあります。

 日本各地に杜氏集団がありますが、岩手県の南部杜氏、新潟県の越後杜氏、兵庫県の但馬杜氏を三大杜氏と呼んでいます。各地の杜氏集団が伝統の技を継承し、独自の工夫で技術を磨き上げております。杜氏はまさに職人であり、芸術家と言われるゆえんですね。杜氏さんには一級酒造技能士の資格を持った人が多いのも頷けます。

 杜氏さんが酒造りの間、絶対口にしない食べ物はなんだかご存じですか。
 答えは納豆です。納豆菌が酒造りを邪魔するためだと言われておりますが、科学的にはどうだかわかりません。でもそれくらいの心構えでお酒に向き合っているのですね。

 寒いのは嫌いですけど、酒飲みには楽しみな季節になりました。ボージョレー・ヌーボーも良いですが、店頭であらばしりを見かけたら、是非味わってみてください。今年のお酒の出来具合を楽しみながら、春の出荷を待ちましょう。

 (平成21年12月)

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