こだわりの地酒と焼酎のお店 高木酒店

杏の木

・ 杏(あんず)の木

 

あんずの花

 我が家にはあんずの木が2本あります。春になると木を覆い尽すくらいに、薄紅の花が咲いて、それはとても綺麗です。青い実をつけますが、初夏になるとみるみるベージュに変わっていきます。桜のような花を咲かせますが、果実はまさに巨大な梅という感じです。

 昔、中国の呉という国に廬山という山があり、董奉(とうほう)という仙人が住んでおりました。彼は、名医としても知られておりましたが、貧しい人からはお金を受け取らず、診療代の変わりに杏の苗木を一本、家の周りに植えさせました。
 数年の後、彼の家は杏の林に囲まれてしまったそうです。このことから、名医のことを「杏林(きょうりん)」と呼ぶようになりました。そういう名前の製薬会社とか、医大とかありますよね。
 
 日本には中国から伝わってきました。古代、日本では杏は「から」とも呼ばれていたのすが、この名残でしょうか。
 万葉集に柿本人麻呂の詠んだ歌がおさめられています。

  あり衣辺に つきて漕がさね 杏人の 浜を過ぐれば 恋しくありなり'
  ありそへに つきてこがさね からひとの はまをすぐれば こいしくありなり

 「ありそへ」は岩だらけの荒磯のこと。「杏人」は「からひと」と読ませます。
 訳文は次の通りです。「舟を荒磯のほうにつけて漕いでもらえないだろうか。杏人がいる浜を過ぎてしまえば、いっそう恋しさが募ってしまうから」

 柿本人麻呂が中国にわたったという記録はありませんが、彼は遣唐使の歌も多く残していることから、恋人を中国に残して日本へ帰るその叙情的な心情を詠んでみたのではないでしょうか。

あんずの実

 杏は英語でアプリコット。ジャムにしたり、お酒にしたり、割と身近な果実です。種を割ると中に白い実が出てきます。これを仁と呼ぶのですが、すりつぶして固めたものが杏仁(あんにん)です。中華料理でおなじみの杏仁豆腐の杏仁ですね。

 うちでもいろいろ試してみたのですが、一番好評だったのは梅干ならぬ「あんず干し」でした。
 作り方は梅干と同じです。塩漬けにして、酢が上がってきたら赤紫蘇を入れて更に漬け込んで、土用干しをしたら出来上がり。巨大なので一つでも食べ甲斐がありますよ。あまりに大きいので、うちでは全部潰して練り梅のようにしています。

 あんずのお酒といえば、杏露酒(シンルチュウ)が有名ですね。杏を漬け込んだお酒です。キリングループの永昌源という会社が出していますが、自分だけのあんず酒などもよいですね。
 でも生の果実はなかなか手に入りません。6月の終わりごろ、ほんの短い時期にしか出荷されないんです。その時期になったら、八百屋さんなど注意して見て回りましょう。見つけたらお酒に漬けるかジャムにするか、うきうき感も手伝ってお店巡りも楽しくなるかも。

 (平成25年6月)

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